賃貸のご提案

借家系の新設住宅着工戸数は、一九八七年度の九一万戸をピークに、九○年度までは八○万戸台をキープしていたのですが、翌九一年度に六○万戸台に激減しました。 そして、これに歩調をあわせるように、バブルのときは入居希望者がきてもなかなか思い通りの物件がないという品薄状態だったのが、一転して供給過剰気味になってしまいました。
つまり、賃貸住宅市場はそれまでの貸し手市場から、借り手市場へと急展開したわけです。 仲介を行う会社同士の競争が激化したのは、いうまでもありません。
「入居仲介に強いT建」を標傍するT建コーポレーションにとって、これは会社の存亡にかかわるほどの一大事。 この危機を何とか打開しなければ、リース建築の営業にも多大な影響が出てくることは、火を見るよりも明らかでした。
そのために、まずテレビで流すコマーシャルの路線を一八○度転換しました。 それまで、リース建築経営を行う土地オーナーに呼びかける内容だったものを、入居希望者を募る内容に変更したのです。
そして、このあたりから私は、「マルチメディア構想」をひそかに温めていました。 いまでこそ当たり前になったインターネットですが、一九九○年代の初めのころは、研究者やエンジニアといった人たちをのぞいては、世間にまったく知られていませんでした。
むろん、私自身もそんな知識はありません。 しかし、文字(テキスト)、音声、画像などをミックスして情報を発信するマルチメディアについては、そろそろ話題になりかけていたときでした。
これを使えば、より多くの人に情報を伝えられるのではないか。 これを早速行動に移して、もっともベーシックなメディアである紙媒体から取り組むことにしました。
こうして、一九九四年に創刊したのが、賃貸住宅情報誌〈ホームメイトマガジン〉です。 「必要は発明の母」と昔からいわれています。

T建コーポレーションのeビジネスを加速したお母さんは、あるいはバブル経済の崩壊だったかもしれません。 もし、バブル時の好調な経済環境がそのまま続いていたとすれば、T建コーポレーションもそれなりの努力しかしてこなかったことでしょう。
自動車メーカー各社は、環境問題の高まりとともに厳しい排ガス規制を突きつけられ、非常に苦しい状況に立たされました。 しかし、それを乗り越えるための技術を各社が競って開発した結果、新しいコンセプトの自動車が次々と生み出されてきました。

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